成長ホルモンが働くメカニズム
成長ホルモンが、骨芽細胞に作用して骨を伸ばすことで背が伸びることはお話しましたが、そのホルモンが分泌されてから、骨が伸びるまでのメカニズムはとても複雑です。
まず成長ホルモン分泌刺激ホルモンの作用で、脳の視床下部にある脳下垂体から成長ホルモンが分泌され、骨芽細胞に作用します。
しかし厳密にいえば実際に骨端線の部分にはたらくのは、「ソマトメジンC」といわれるホルモンで、これは成長ホルモンのはたらきで、主に肝臓で作られます。
もし成長ホルモンが十分であっても、肝臓が悪かったりするとソマトメジンCは十分に作られなくなりますので、身長を伸ばすことができなくなるということです。
そんな理由で小児期に、肝臓の病気を患うと、身長が伸びない原因になりうるというのはこのためなのですね。
ホルモンだけでなく十分な栄養が必要
成長ホルモンが十分に分泌されていても、カルシウムやたんぱく質などの栄養が不足している場合身長は伸びませんし、せっかく身長が伸びたとしても、ある程度の運動などによる刺激がないと、弱い骨になり骨折しやすくなってしまいます。
成長ホルモンと十分な栄養、適度な運動が加わって、健全な身体へと成長していくわけですね。
したがって、例えるなら、たんぱく質やカルシウムは骨を形成する材料で、ホルモンはその材料をつなぎ合わせる、接着剤のようなものです。
また成長ホルモンが不足している子供の場合、それを補えば背の伸びは改善しますが、栄養が不足している子供にいくら成長ホルモンを与えても、伸びは改善しないということがいえるそうです。
ですから家庭でできることとしては、まずしっかりとした栄養を摂ることが、伸長のための大前提となります。
また成長に関係してくるホルモンは、成長ホルモンだけではありません。
特に乳幼児期は「甲状腺ホルモン」が身長増加にかかわってきますし、思春期の身長には「性ホルモン」がかかわってくることがわかっています。